学習塾のチラシから消えた熱血イメージ
久しぶりに故郷に帰った。
友人宅を訪ねると、変わらないひなびた商店街がそこにあった。
近くに大型のショッピングセンターはできたが、その商店街は昔と変わらない気さくな表情で私を迎えてくれた。
そこの鮮魚店を継いでいるのが私の同級生だった。
鮮魚店なんて、知っている人は誰も言わない。
「さかなや」が正式名称だ。
商店街のさかなやといえばそこのことになる。
その一軒しか魚屋はないのだから。
同様に肉屋もあったが、そこは店を閉めてしまっていた。
だから、その商店街にはもう肉屋はない。
そのかわり八百屋はあって、その奥で惣菜は扱っているので、なんとかなるようだ。
どうしても肉が買いたければ、ショッピングセンターに行けばいいだけだ。
別の知り合いのところにもっていくために、私は魚を何種類かさばいてもらった。
「ありがとよ」子供の頃と変わらない笑顔の彼が手渡してくれたのは、ラップで包んだうえから折込チラシでくるくると巻き、それをビニール袋に入れてくれたものだった。
彼の笑顔と同様、昔と少しも変わることのないラッピングだった。
でも、皮肉に思えたのは、そのチラシがこの商店街に影響を与えているショッピングセンターのチラシだったことだ。
彼がわざとそれを選んだわけでもないのだろうけれど。
